インターネットやアプリを利用して相手と直接対面せずに古物の買取を行う場合(非対面取引)は、対面取引以上に厳格な本人確認措置が法令で義務付けられています。
単に「身分証の画像送信」を受けるだけでは本人確認として不十分であり、法令違反(古物営業法違反)となるため十分な注意が必要です。
この記事では、非対面取引において「法令上認められている正しい本人確認方法」について解説します。
身分証の画像受領のみでは不十分です。「転送不要郵便」等を用いて、本人の住所を確実に確認する必要があります。
身分証の画像受領のみでは不十分な理由
身分証明書の画像を受領するだけでは、なりすまし等の危険を完全には排除できないため、以下のリスクが残ります。
そのため古物営業法施行規則第15条第3項では、「相手方が住所地(身分証の記載住所)に居住していること」を確認するための措置が定められています。
主な非対面取引における本人確認方法
法令では10種類以上の確認方法が定められていますが、実務上、主に使用されるのは以下の3つの方法です。
1. 転送不要郵便を送付する方法
古物営業法施行規則第15条第3項第1号に規定される方法です。
- 相手方から身分証明書等の写しの送付を受ける
- その住所宛に簡易書留等を「転送不要」扱いで送付する
- その到達を確かめる
2. 本人限定受取郵便を使用する方法
古物営業法施行規則第15条第3項第2号に規定される方法です。
- 相手方から本人限定受取郵便等の送付の申出を受ける
- その住所宛に本人限定受取郵便等を送付する
- その到達を確かめる
3. eKYC(電子的本人確認)
古物営業法施行規則第15条第3項第8号等に規定される方法です。
- 特定事業者が提供するソフトウェアを使用する
- 身分証明書等の画像および容貌の画像の送信を受ける
- その場で撮影されたものであることを確認する等の措置を講じる
例外規定について
対価の総額が1万円未満の取引などは、確認措置が免除されます(法第15条第2項第1号)。
まとめ
ネット買取の注意点について、以下の点を押さえておきましょう。
画像送信の有効性
単なる画像の送信等は、規則第15条第3項のいずれの措置にも該当しません
認められる確認方法
規則第15条第3項各号に規定された措置(転送不要郵便等)に限られます
義務の根拠
法第15条第1項第4号の規定により、上記措置が義務付けられています
非対面取引を行う場合は、古物営業法および同法施行規則に基づく確認措置を講じなければなりません。
根拠法令:古物営業法施行規則第15条第3項(非対面取引における確認方法)