お客様の身分証を確認する方法は?
毎回コピーを取る必要がある?
1万円未満の取引なら確認不要?
古物商にとって非常に重要な義務のひとつが「相手方の確認(本人確認)義務」です。
これを怠ると、盗品の流通防止という古物営業法の目的が達成できないだけでなく、営業停止処分や罰金刑が科される可能性があります。
この記事では、「対面・非対面取引での正しい確認方法」や「確認義務の免除規定(例外)」について解説します。
買い受け時には、相手の「住所・氏名・職業・年齢」を必ず確認しましょう。
相手方の確認義務の趣旨
古物営業法の主な目的は、「盗品の流通防止」と「盗品の早期発見」です。
古物商が適切に相手方の確認を行っていれば、万が一盗品が持ち込まれた場合でも、警察が犯人を特定する手がかりになります。
確認すべき4つの事項
古物営業法(第15条第1項第1号)により、古物商が買い受けを行う際は、相手方について以下の4点を確認しなければなりません。
住所
どこに住んでいるか
氏名
だれなのか
職業
仕事は何か
年齢
何歳か(生年月日)
具体的な確認方法(対面取引・非対面取引)
確認の方法は、取引形態によって異なります。対面での取引か、それとも非対面での取引かによって、求められる手続きが変わりますので、それぞれ確認しておきましょう。
1. 対面取引の場合(店頭・出張買取)
お客様から身分証明書の提示を受けて確認します。
使用できる身分証明書の例
2. 非対面取引の場合(宅配買取・ネット取引)
非対面取引においては、対面取引以上に厳格な本人確認措置が法令で義務付けられています。
単なる画像の送信等は、規則第15条第3項のいずれの措置にも該当しません。
主な確認方法
転送不要郵便を送付する方法
規則第15条第3項第1号に規定される方法。住所宛に簡易書留等を転送不要で送付し、到達を確認します。
本人限定受取郵便
規則第15条第3項第2号に規定される方法。本人限定受取郵便等を送付して、到達を確認します。
eKYC(電子的本人確認)
規則第15条第3項第8号等に規定される方法。特定事業者のソフトで容貌と身分証の画像を送信させます。
電子署名
法第15条第1項第3号に規定される方法。電子署名が行われた電磁的記録の提供を受けます。
確認が不要なケース(例外)
取引金額が1万円未満の場合は、原則として相手方の確認を省略できます。ただし、以下の品目は盗品の流通に利用されやすいため、金額に関係なく確認が必要です。
1万円未満でも確認が必要な品目
【従来からの対象品目】
令和7年10月追加(金属盗対策)
これらの品目については、取引金額にかかわらず相手方の確認が義務付けられています。
義務違反の罰則
相手方の確認を怠った場合、以下の罰則が科される可能性があります。
義務違反のペナルティ
まとめ
4点の確認必須
買取時は、相手方の「住所・氏名・職業・年齢」の確認と記録が義務です。
非対面取引の原則
法第15条第1項第4号に基づき、国家公安委員会規則で定める措置を講じなければなりません。
例外の注意点
1万円未満は原則免除ですが、バイク・ゲーム・書籍等は金額に関わらず確認が必要です。
相手方の確認は、盗品流通防止だけでなく、営業者の身を守るためにも極めて重要です。
根拠法令:古物営業法第15条(確認等及び申告)、施行規則第15条(確認の方法)